激変星の会議で招待講演を行いました

イタリア・シチリア島・モンデッロで開催された国際会議 “Golden Age of Cataclysmic Variables – V” にて招待講演を行いました。この会議は白色矮星と恒星の近接連星系である激変星にターゲットを絞り、分野で活躍する研究者が研究者が集まる招待講演のみの研究会です。私は2018年2月にMNRAS誌にて発表した矮新星GK PerseiのX線観測について発表しました。

激変星は古くから可視光で観測されていますが、ブラックホールや中性子星などと比べると現象が地味で、研究コミュニティが大きくないのが実情です。しかし、白色矮星は質量が小さいため、他のコンパクト天体と比べると我々太陽系の近傍に大量に存在し、さらに可視光のみならず紫外線やX線でも観測できるといった利点があります。特に近年の観測網の発達、具体的にはASAS-SNやZwicky Transient Facility、Gaiaなどによる激変星の観測が活発化しており、これらに関する発表も多く聞かれました。3年前に参加したEuropean White Dwarf Workshopに参加されていた方もいらっしゃり、数年ぶりの再会となりました。

モンデッロはシチリア島で最も大きい都市であるパレルモの近くにあり、ビーチが美しい観光地です。会議の休憩時間には地中海の美しい海で泳ぎました。またホテルて提供された地中海料理とワインはとても美味しく、食事も楽しめました。さらに夕方になると雷が発生し、眺めのよい自室のベランダから雷の写真を撮影することに成功しました (本HPの雷の写真はこのときに撮影したものです)。 またパレルモにも足を伸ばし、地中海の美しい装飾が施された教会巡りを楽しみました。各教会では、午後に多くの結婚式に遭遇したのが印象的でした。

とても有意義で楽しい会議でしたが、帰りのミラノ-成田便は台風15号の影響で出発が遅延し、さらに成田に9日15時頃に着陸した際には、成田からの交通手段が一切遮断され (鉄道は不通、また高速道路も通行止めとなったため、リムジンバスもほとんどが運休した)、陸の孤島と化しました。成田空港内で一夜を明かすことも検討しましたが (実際に1万人が夜を明かした)、京成線が京成成田まで動いていることを知り、成田空港から京成成田駅まで10kmを2時間かけて踏破しました。そして上野行きの電車に乗り、家にたどり着くことができました。日が沈んで気温があまり高くなかったため、熱中症のリスクを下げられたことが成功の要因と思います。成田空港へアクセスする線路はJR・京成とも共用のため、これか遮断されると陸の孤島と化します。今後の成田空港の利便性向上には、この部分の冗長化が欠かせないと思いました。